oto`s life

初めまして。oto(オト)と申します。本に纏わるお話をしています。気軽に覗きにきてください。

わたしの幸せな結婚 顎木あくみ 【感想】〜心を閉ざした少女と、冷酷な男の幸せになるための一歩〜 〈おすすめ本〉

こんにちは

 

 

はじめに

顎木あくみさんの「私の幸せな結婚」を読了しました。

SNSの広告でコミック化されたこの作品をよく見かけて気になっていたのですが、小説で読むか、コミックで読むかを散々悩み、結局小説にしました。

原作はどうやら小説の方らしい。

 

あらすじ

名家に生まれた美世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。嫁入りを命じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞。大勢の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の薄い美貌の男。

初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく。

これは少女があいされて幸せになるまでの物語。

 

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真逆な二人の出会い

無になることで自分の立場と心を保ってきた美世と

冷たく美しい容姿と振る舞いを見せる清霞。

 

名家であることは両家とも変わらず、

扱われ方は全く違うものであった。

 

実母が亡くなり、父が再婚したことで始まった美世に対する陰湿ないじめ。

使用人同等、もしくは使用人以下として扱われまともな部屋でさえ、食事でさえ与えられなかった。

 

美世にとっては何かを望むこと自体が不可能でそんな気持ちにさせられる暇などなかったため、急に決められた婚約者が冷酷無慈悲と噂されていようが美世には関係ない。

 

ただ、眠れる場所があればいい。

何にも期待せず、望みもせず、何かがあれば息をするように“申し訳ございません”と頭を下げる。

 

そんな美世が幸せになるための一歩を本人も知らぬ間に歩み出す。

 

 

溶けていく心

 

「いいか。ここでは私の言うことに絶対に従え。私が出ていけと言ったら出ていけ。死ねと言ったら死ね。文句や反論は聞かん。」

 

清霞に初めて出会った日、大して目も合わせずに言われた言葉。

きっと名家の令嬢であればこの言葉に怯むか逃げ出すかであっただろうが、それまで蔑まれ、邪険にされ、罵られてきた美世にとっては“なんだそんなことか”で済んでしまう。

 

そんな美世が心を許し始めるのはそう遠くない未来だ。

 

共にご飯を食べること。

共に街へ出て買い物をすること。

 

そんな普通の出来事が

美世にとっては素晴らしいこと。

 

やがて清霞の側にいたいと、そう思うようになる。

 

また、清霞も今まで出会ってきた女性とは何かが違うと感じるようになる。

 

二人の心が通じた時、

誰にでも幸せになる権利があることを知った時、二人はさらに幸せな日々をすることになるだろう。

 

最後に

 

頑で笑うことを忘れた美世が心を許すまでがやや早い気もする。

心を固く閉ざし、そう簡単には開かないような印象を最初に受けていたが、優しさに、言葉に美世がそう簡単に動かされてしまうものなのか。

 

しかし逆を言えば、優しい扱いや言葉に心を委ねてしまうくらい、やはりまだ幼い少女だとも言える、人にまだ甘えていい年頃なのだ。

 

今後、どういう展開を見せるのかが楽しみだ。

 

 

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫) [ 顎木 あくみ ]

 

ではまた。

 

 

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世界で一番かわいそうな私たち 第二幕 【感想】

こんにちは

オトです

 

 

 

はじめに

綾崎隼さんの「世界で一番かわいそうな私たち 第二幕」を読了しました。

以前に第一幕を読んだ時には第二幕の存在を知らず、結末が中途半端であることに疑問を持ち、調べた時に第二幕の存在を知りました。

第一幕の感想を以前出しているのでぜひ読んで見てください。

 

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あらすじ

フリースクール〈静鈴荘〉で教師として働きはじめた佐伯道成は、一人の生徒を追い詰める深刻なトラブル—謂れのない罪の告発と嫌がらせに直面する。大人の悪意から子供を守ろう必死に奔走する佐伯だったが、先輩教師の舞原杏が選択した救済のカタチはあまりにも意外なものだった。一方、心を閉ざしていた〈静鈴荘〉の住人・三好詠葉にも変化が訪れ、、残酷すぎる恋物語が動き出す。

 

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第一幕から第二幕へ

 

第一幕では、バスジャックが詠葉の目線から語られた。バスの中で何があったのか。犯人に人質にされ、さらには犯人の足にまでされた少女があの日の恐怖。

 

そして杏の口から語られた「瀬戸内バスジャックの犯人は佐伯道成である」という真実。

 

第二幕では“ひー君”こと鳴神幹久の過去が明らかになる。

「彼を本名で呼ばないことです。彼と同じように「ひー君」と呼んでください。これは冗談でも、あなたをリラックスさせるための方便でもありません。言葉の通りです。絶対に彼を本名で呼ばないでください」 

 〈静鈴荘〉のルールとしてそう言われた佐伯は疑問に思いながらも、第一幕では明らかにならずに終わってしまったが、第二幕でその事件は起こる。

 

そしてもう1つ。

明らかになっていない、“なぜ、佐伯は〈瀬戸内バスジャック事件〉を起こしたのか”ということ。

犯人であることを認めた佐伯が語った真実。

それは、想定外のものだった。

 

“ひー君”こと鳴神幹久の過去

鳴神幹久の名を呼んではいけないわけ。

それは“彼の存在がここにあることを知られてはいけない”から。

 

彼の父親は、飲酒運転で男性とその娘を死なせ、息子を植物状態世にさせた世に言う“殺人者”だった。

 

死なせてしまった男性の妻である細谷雅子は、執拗に相手の家族を追い詰めた。

矛先を向けられた残された母親とひー君は逃げても逃げても居場所を突き止められ悪意ある行動で二人を罵倒した。

 

私は家族を奪われたんだから、貴方達も失ってしまえば良い。

 

母親は、どうにか息子だけでもその悪意から守るために杏に預けた。

決してひー君の居場所を突き止められてはいけない。

その悪意を子供に向けてはいけない。

 

しかし、どんなに頑張って隠してもいつまでもは続かない。

平和な生活はそう長くは続かなかった。

細谷雅子に居場所を突き止められ、近所には「人殺しを匿っているスクールだ」なんて言われ、学校でもありもしないことを書かれたチラシを配られ。

 

警察はそのおかしな行動を納めてはくれなかった。

細谷雅子に響いたのは杏の言葉だけだった。

 

 「あなたが答えを見つけない限り、あなたも、あなたの大切な人も、救われない。逃げずに『今』を生きてください。『今』あなたが本当にすべきことは何ですか?」

 

 私がこの後の人生を歩んでいく中で、何かにつまずいた時この言葉を思い出せたら良いと思う。現実から逃げることなく、自分の大切なものを守るために『今』を生きることができるように。

 

細谷雅子の行動はきっと、愛する者を失った人にしか分からない感情が込められていて、誰にも全面的に否定することなどできなかった。

しかし新しい犠牲者を出すことは、また誰かの愛する人を奪うことにもなるのだ。

それは復讐が復讐を生みかねない。

それは決してあってはならないことなのだ。

 

ひー君が笑顔で暮らしていけますように。

 

あの事件の真実

第一幕で杏の口から発せられた「バスジャック事件の犯人が佐伯道成である」という真実。

 

瀬戸内バスジャック事件〉の当時、佐伯道成はたったの13才だ。

そんな幼い子供がなぜ、前代未聞のバスジャック事件を起こしたのか。

 

その真実が佐伯の口から語られた。

 

中学二年生の時にやってきた転校生・多部沙智香。

彼女は転校してきたその日から一度も学校に来なかった。

佐伯は、プリントを届けるように頼まれ彼女の家に行き、やがて毎日のように放課後に彼女の家でゲームをするような仲になった。

 

佐伯にとって初めての“友達”であり初めての“恋”だった。

 

やがて知ることになる、彼女が学校に来ない理由。

彼女の父親は世間を騒がせた〈三億円事件〉で誤認逮捕された人物だった。

実際には、彼は犯人ではなく、ただ容疑をかけられた“被害者”だ。

犯人が逮捕されなかったこともあり、彼女の父親はマスコミの餌となり追いかけ回され、母親は心を病みやがて亡くなった。

そのことが噂になるのも時間の問題で、学校に行っても噂の餌食になるだけだ。

 

彼女は苦しんでいた。

私たちは永遠に苦しめられると叫ぶ彼女を守るため

彼女の家族を追い詰めるマスコミを、世間の目を、別のものに向けるため。

あの事件を超えるなにかを起こせばいい。新たな被害者を出すことなく、それを超える何かを。

 

誰一人傷つけずに初恋の少女を救うと、その日、少年は決意した。

 

たった13歳の少年が、〈三億円事件〉を超える事件を一人で成し遂げた。

 

しかし現実は何も変わらない。

 

やがて沙智香は引っ越した。

何も言わず、何も残さず、佐伯の前から姿を消した。

 

佐伯の心は空っぽのまま、大人になった。

 

第三幕

 

佐伯は自首をするべきなのかそうでないのか、答えは出ていない。

自首をするということは、詠葉を傷つけることになる。

 

何を選ぶべきなのか、正解は誰にも分からない。

 

そして。

杏と詩季の謎の多い夫婦の隠された真実。

 

「俺はね、時々、杏と詩季のことを、世界で一番かわいそうな夫婦なんじゃないかと思うことがあるよ」

 

杏の従兄弟である舞原留伽が本作の最後に放った言葉。

 

この真実がどういうものなのか。

この言葉の意味はなんなのか。

 

第三幕で全てが明らかにされるだろう。

 

最後に

 

最後に吐季君という男の子の名前が上がっていたのですが「ノーブルチルドレン」シリーズで会ったことあるよな・・・。

「ノーブルチルドレン」も購入して読み直そうかなあ、と考え中

 

綾崎さんの作品、おすすめです。

 

世界で一番かわいそうな私たち 第1幕/綾崎隼【1000円以上送料無料】

 

 

世界で一番かわいそうな私たち 第二幕 (講談社タイガ) [ 綾崎 隼 ]

 

ではまた。

 

 

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恋のゴンドラ 東野圭吾 【感想】 こじれた男女9人の結末は、幸か不幸か 〈おすすめ本〉

こんにちは

オトです

 

 

はじめに

東野圭吾さんの「恋のゴンドラ」を読了しました。

中学生の時、東野圭吾さんの作品が大好きで片っ端から読んでいた記憶があります。

 

当時好きだった作品は「使命と魂のリミット」と「手紙」でした。

 

読者に想像させる文章の造り方が最高な作家さんで、とっても読みやすい作品が多い印象です。なんせ中学生が好きになるぐらいですからね。

 

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(帯文は「貴方ならどんな罰を与えますか」)

あらすじ

都内で働く広太は、合コンで知り合った桃実とスノボ旅行へ。ところゴンドラに同乗してきた女性グループの一人は、なんと同棲中の婚約者だった。ゴーグルとマスクで顔を隠し、果たして山頂までバレずに済むのか。やがて真冬のゲレンデを舞台に幾人もの男女を巻き込み、衝撃の愛憎劇へと発展していく。

 

 罠か無意識か

好きな相手と共通の趣味であるスノボをしに行き、二人でゴンドラに乗る。

そこだけ見たら、というよりかはそんな場所で普通事件なんておこらないものだ。

浮気相手と旅行中に、本物の恋人と同じゴンドラに乗ってしまうなんてそんな悲劇があってしまったらたまったもんじゃない。

 

でもそれがおきてしまった。

最初の章が一番ドギマギさせられた。

 

「ねえ、見て。このスキー場もそうだけど、ゴンドラとかリフトの鉄塔に分数を書いた看板が付いていることがあるよね。ここだと三十三分のいくつって。鉄塔は全部で三十三あって今はどのあたりにいるのかを教えてくれる。」 

 

このセリフに彼女の真意を知りたくて仕方がなく、そわそわしてしまった。

「早く白状しろよ」と浮気中の彼氏である広太に脅しをかけているのか

それとも広太の存在に気づいていないのか

 

ただ女性目線からすれば、もうすでにバレていてコテンパンにやられてしまえばいいとも思ってしまったが。

 

こんな災難というかただの偶然というのがまだまだはじめの章であり、この物語ではこのようなことが次々と襲ってくる。

 

登場人物 

次から次へと新しいキャラクターが登場してくる

 

広太

美雪

桃実

日田

水城

秋葉

月村

麻穂

弥生

 

9人も、いや、たった9人の男女がなんでこんなにもこじれた関係になるのか。

 

ざっと関係性を書いてみるとこのような感じになる

 

広太:美雪と同棲中。桃実と浮気。双方に振られた後によりを戻すが今度は弥生を好きになる。

美雪:広太の浮気を知り、別れる。その後、日田と付き合う。桃実とは高校の同級生。

桃実:彼女の存在を知らず広太と付き合うが、浮気だと知り別れる。その後、日田に興味を持つ。美雪とは高校の同級生。

日田:美雪と付き合いプロポーズしようと試みるが、広太に先を越され別れる。その後、桃実を好きになる。

水城:日田の友人で秋葉の恋人。弥生に浮気相手としてアタック中。

秋葉:水城の恋人。水城からのプロポーズ待ち。

月村:麻穂の恋人であり後に結婚

麻穂:月村の恋人であり後に結婚

弥生:桃実の友人。水城からの誘いを断り続ける。

 

複雑すぎる。

 

東野圭吾作品で男女の縺れや複雑な関係はいくつか見てきた気がするが、ここまで複雑なのは初めてだ。

 

男達の幸運と不運 

最初は広太の浮気がバレるところでその章が終わるが、一冊を通して見てみると広太は運が良すぎる上に懲りない。

 

桃実との浮気がバレた後、坊主にしてまで美雪に頭を下げ許しを請うたはずなのに、そんな時間も経たないうちに今度は弥生と関係を作ろうとしている姿に、心底呆れる。

挙げ句の果て、その時の浮気話になると桃実を悪くいう次第。

そもそも人としてどうなんだそれ・・・。

 

広太とは逆で運が悪すぎる人もいる、日田だ。

「良い友達だけど、付き合うとなるとちょっと違うんだよね」そう評される彼はつくづく運が悪い。

プロポーズしようとしたところで元彼に目の前でプロポーズをされ、別れることになり。

桃実には他の人たちも見ている中で「ごめんなさい」と断られ。

 

んーでも現実でも男性だけでなく女性に対しても言えるものなのかもしれないが

「友人としては良いけど、恋人にするならちょっと違う」と評される人いるなあと感じてました。

 

ゴンドラ

ゴンドラに始まりゴンドラで終わる。

広太と桃実の浮気中に美雪と鉢合わせてしまう場面で始まり

広太と美雪の旅行に今度は元浮気相手の桃実がゴンドラで鉢合わせる場面で終わる。

 

少し先が気になるような。

とりあえず広太をどうにかしてくれと願うばかり。

だれかこの男に罰を与えてくれ、と。

 

私がもし美雪や桃実の立場だったとしたら

自分はどうしただろうか。

笑って話せる日が来るまで胸の奥にいろんな感情をしまうだろうか。

桃実のように悲しさや虚しさ、悔しさを隠し続けるだろうか。

 

あまりにも現実で想像できない複雑化した関係性と惨さに

自分がどうするか答えは出なかった。

 

 

最後に

今までは事件が起こるような東野作品ばかり読んできたが、こんな作品もあるんだと新鮮でした。東野さんぽくない気も一瞬したが、物語の展開やセリフは見事だった。

 

東野圭吾さんの作品でハズレは出会ったことないなあ。

 

ハラハラそわそわのスリルを味わいたい方はぜひ読んでみてください。

恋のゴンドラ 実業之日本社文庫 / 東野圭吾 ヒガシノケイゴ 【文庫】

 

ではまた。

 

 

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コンビニたそがれ堂 村山早紀 【感想】 / あなたの探しているものはなんですか?

こんにちは

オトです

 

 

はじめに

村山早紀さんの「コンビニたそがれ堂」を読了しました。

高校生の時に後輩に借りて一度読んだことがあるので、再読になります。

 

コンビニ人間」から「コンビニたそがれ堂」へ。

意識はしていませんでしたが気づいたらコンビニが並んでしまいました。

 

このタイプの作品のジャンルは何に当たるんだろう。

不思議で暖かい物語です。

 

あらすじ

駅前商店街のはずれ、赤い鳥居が並んでいるあたりに、夕暮れになるとあらわれる不思議なコンビニ「たそがれ堂」。大事な探し物がある人は、必ずここで見つけられるという。今日、その扉をくぐるのは?

慌ただしく過ぎていく毎日の中で、誰もが覚えのある戸惑いや痛み、矛盾や切なさ。それらすべてをやわらかく受け止めて、昇華させてくれる5つの物語。

 

 

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 不思議なコンビニ

最初から最後まで文章が優しく、表現が丸みを帯びている、そんな感覚があります。

 

探し物をしている人の前にしか現れない不思議なコンビニ。

 

大事な探しものがある人は

必ず  ここで見つけられると

いうのです

 

店の名前は  たそがれ堂

不思議な  魔法の  コンビニです 

 

捨てられてしまったリカちゃんの人形を探す小学生や

いなくなってしまった猫を探す高校生。

 

それ以外にも大切なものを見失い、探し求めて歩いている人たちの前へ現れ、

そこには長い髪が銀髪で、目は光る金色のにっこり笑ったお兄さんが立っているのです

 

 

それぞれの大切なもの

 

年齢や学年、職業に関係なく、人は何か大切なものを隣に置いて、時に背負いながら必死に前を向いているのではないかと思います。

 

「大切だ」と思えるそれがあることの有り難さは年を重ねれば重ねるほど分かるもののように感じますが、何かに対して大切にしたいという感情を持てたならきっとそれはその人にとって宝物になるはずです。

 

生き急ぎ、つまずき、下を向き、涙して。

もうどうしようもないと思っている人生も何かたったひとつのことで

前を向けるかもしれない。

 

そのことを信じてコンビニの扉をくぐったこの物語の5人は

きっと今、笑っていることでしょう。

 

最後に

 

元気がない方、何かを諦めようとしている方にぜひ読んでほしい作品です。

暖かい気持ちになりました。

 

コンビニたそがれ堂

 

ではまた。

 

 

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5月を振り返る 〜読了本とおすすめ本〜

こんにちは

オトです

 

 

 はじめに

 

この前まで4月だったのにあっという間に6月です。

5月上旬は勤務先がお休みだったためずっと家にいましたが

中旬からは通常通り働いていました。

 

ずっと家にいる生活から急にフルタイム立ちっぱなしの勤務に

なかなか本を読む体力が残っていない日が多くあまり冊数は読めませんでした。

 

5月の読了本を振り返りたいと思います。

皆さんはどんな本を読みましたか?

 

5月 読了本

 

・世界で一番かわいそうな私たち 綾崎隼

・父からの手紙  小杉健治

・誰も死なないミステリーを君に  井上悠宇

・九つの、物語  橋下紡 (再読)

・悪寒  伊岡瞬

・読書嫌いのための図書室案内  青谷真未

・今はちょっと、ついてないだけ  伊吹有喜

・蒲団  田山花袋

コンビニ人間  村田沙耶香

 

 

読了本振り返り

5月は初めましての作家さんがほとんどでした。

綾崎隼さんは「ノーブルチルドレン」シリーズで、橋下紡さんの本は再読だったので、この二作以外は初めましてでした。

改めて作品の幅が広がったなと感じます。

 

冊数は多くないものの、かなりいい作品に出会えた1ヶ月。

「今はちょっと、ついてないだけ」や「コンビニ人間」は驚くような展開は少ないものの、色々なことを考えさせられる作品であったし、「悪寒」は塗り固められていく嘘に騙されないように必死に食らいついていく感じは久しぶりで楽しかったです。

 

6月は「世界で一番かわいそうな私たち」と「誰も死なないミステリーを君に」の続編をどこかで読みたいと思っています。すぐ読まないと忘れそうなので。汗

 

5月おすすめ本

5月のおすすめ本はこれにします

 

コンビニ人間  村田沙耶香

 

感想を出しているのでぜひ読んで見てください。 

www.otono-oto.com

 

最後に

新しい作家さんを読むことはなかなか勇気のいることですが、5月はそこに挑戦することで素晴らしい本に出会えました。

6月も沢山の本に出会えますように。

 

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ではまた。

 

 

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コンビニ人間 村田沙耶香 【感想】 / “普通”という名の束縛と、逃れられない“少数派”の現実

こんにちは

オトです

 

 

 

はじめに

村田沙耶香さんの「コンビニ人間」を読了しました。

大分前に、書店で大々的に宣伝されていたのに惹かれ、購入しました。

が、読まないままずるずると何ヶ月、下手したら一年ほど読まずに置きっ放しにしていました。

 

そんな時に、この本の感想を書いている方を見つけて「読んでみたい!」と思いやっと読みました。

「読んでみたい!」と思わせてくれたこの記事を書いてくれたこの方に感謝します。

 

sogood.hatenadiary.jp

あらすじ

「いらっしゃいませー!」お客様がたてる音に負けじと、私は叫ぶ。古倉恵子、コンビニバイト歴18年。彼氏なしの36歳。日々コンビニ食を食べ、夢のなかでもレジを打ち、「店員」でいるときのみ世界の歯車になれる。ある日、婚活目的の新入り男性・白羽がやってきて・・・。

 

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音で繰り広げられる古倉恵子の日常

今まで出会ってきた物語の中で、五感に関する描写が沢山あったがそのほとんどが視力だったように思う。

 

しかしこの本の五感に関する描写はほぼ“音”だ。

さらには、コンビニの中の“音”である

 

客が入ってくるシャイムの音に、店内を流れる有線放送で新商品を宣伝するアイドルの声。店員の掛け声に、バーコードをスキャンする音。かごに物を入れる音。パンの袋が握られる音に、店内を歩き回るヒールの音。 

 


コンビニの中だけで、ましてや日常的にそんなに“音”が発生しているものなのかと疑問を持ちたくなるぐらい古倉恵子の中では大事な「コンビニアルバイト」での一つの要素なのだ。

 

コンビニ人間

 

恵子は昔から世間でいう“ちょっと変わった子”で、両親や妹は心配し“治す”ために様々な手を尽くしたが改善は見られずそのまま大人になった。

 

周りからおかしいと思われていることは察してもどうしておかしいと思われているかが分からない。

 

コンビニバイトに出会うことで世間の“マニュアル”に従えば“普通”に見られることを知った恵子はどんどん「コンビニ人間」になっていく。

 

朝になれば、また私は店員になり、世界の歯車になれる。そのことだけが、私を正常な人間にしているのだった。

 

恵子から出てくる言葉にはバイトの最中だけでなく、妹や友人との会話にも全てに「!」がついているし(お客様が立てる音に負けないようにするため声を張り上げる必要があるため)

語尾に「〜」という伸ばし棒がつくのはバイトリーダーの泉さんの影響である。

 

一人の人間というよりもコンビニの古倉恵子になり、戻れなくなっている

 

少人数派が下に見られる世界

 

意味不明な新人バイトの白羽くんは残念ながら私は最後まで好きになれなかった。

言うことは傲慢で、我儘で、人には言うけど自分はできない。

雇われ店長」と店長をバカにするけどそもそもそれにもなっていない人にそうは言われたくないと思ってしまったが、ちょこちょこ痛いところをついてくる。

 

「あいつらは!誰にも迷惑かけていないのに、ただ、ただ少人数だというだけで、皆が僕の人生を簡単に強姦する」 

 

「普通の人間っていうのはね、普通じゃない人間を裁判するのが趣味なんですよ」 

 

世の中の大半が恵子のようだったらきっとそれが“普通”になる。

世の中の大半が白羽くんのようだったらそれが普通に なるだろう。

 

この二人に対して違和感を感じてしまうのは、それが少数派だからなのではないか。

 

変なのではなく、歪んでいるのではなく、ましてや傲慢でも我儘でもなく少数派だから違和感を感じるのか。

 

考え始めたら病んでしまいそうになる。

こんなものに答えがあるのか。

それも分からないからこれ以上はやめておこう。

 

最後に

“普通”とは何をもって“普通”というのいうのか。

タイトルの意味はきっと、読んだ人にしか理解できないものなのではないかと思う。

読んでよかったと思える本でした。

 

先ほど紹介した方が書いたもので、読んだことのある身として他の方の感想を知ることができてよかったと思えた記事も貼らしていただきます。

ぜひ、読んで見てください。

sogood.hatenadiary.jp

 

ではまた。

 

 

コンビニ人間 (文春文庫) [ 村田 沙耶香 ]

 

今はちょっと、ついてないだけ 伊吹有喜・著 【感想】/ フィクションではなく、現実の物語

こんにちは

オトです

 

 

 

はじめに

伊吹有喜さんの「今日はちょっと、ついてないだけ」という作品を読了しました。

初めましての作家さんでタイトルに引き寄せられ購入しました。

 

その時の私の心情がどういうものだったかはっきりと覚えてはいませんがきっとほんの少しの救いをこのタイトルに求めていたのではないかと思います。

 

実際は、購入してから読み始めるまでに半年ほど経ってしまっているのでその時にはもう救いというものは考えていませんでしたが。

 

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あらすじ

バブルの頃、自然写真家としてもてはやされた立花浩樹は、ブームが過ぎると忘れられ、所属事務所に負わされた多額の借金を返すうちに四十代になった。カメラも捨て、すべてを失い。

自分が人生で本当に欲しいものはなんだったのか?問い返すうちにある少女からの撮影依頼で東京へ行くことになった浩樹は、思いがけない人生の「敗者復活戦」に挑むことになる。

 

 

現実に存在する人々

生きて行く中でうまく行くことばかりではなく、むしろうまくいかないことのほうが多いかもしれなくて。

浩樹は昔は写真家だったが、今はもうカメラすら持たない。

“うまくいかない”というフレーズさえきっと浩樹の頭の中には浮かばないぐらい“諦め”に近い感情がぐるぐると頭の中を回っていて。

 

次の日の希望なんて微塵も感じられない。

もう自分がカメラを持つことさえもないと思っていた。

 

浩樹だけではなく、

家から追い出された宮川も

仕事がなくなった瀬戸も

昔の友人の今を知りたくなった岡野も

芸人としての再出発を賭ける会田も

 

みんな現実にいる人たちだ。

決してフィクションではなく。

 

“諦め”から“希望”へ

 

この五人が出会い、気づかぬうちに互いが互いに影響され、少しずつ前を向けるようになる

 

どこへ行くのだろう

行き先はわからないけど、今、ここにいる。

そして願えばきっとどこにでも行ける。 

 

どこまで落ちても希望はあるとそう言われているような気がする。

 

物語が進んで行く中で、読者へのメッセージが込められているような気がして。

ほんの少し救われた。

 

最後に

最後のシーン。

 

『追伸

ありがとう

ついてない時期は、抜けたようです』 

 

そう言えるように、前を向こう。

 

ではまた。

 

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